今年公開された作品だけでも『まほろ駅前多田便利軒』、『大鹿村騒動記』、『一命』と数々の作品に出演し、若手演技派俳優として着実にキャリアを積んできている瑛太。そんな彼が今回演じるのは、悲しい過去を背負ったダークヒーローだ。大型バイクを使ったアクションにも挑戦し、新境地を拓いた彼に話を聞いた。
(構成・文:宮崎新之)
――今回の役は、どういった経緯で演じることになったんですか?
羽住英一郎監督がアクション作品を撮るということでお話をいただきました。監督からは「瑛太自身が自分で飛葉という役と向き合って、とにかく楽しんで」と言ってくれて。先入観を持たないように、原作も読まないでほしい、とも言われました。羽住監督とは以前、『銀色のシーズン』でご一緒していたので信頼もありますし、今回の現場も必ず楽しいものになるだろうな、と期待して引き受けました。
――ダークヒーローであったり、アクションであったり、瑛太さんにとってかなり挑戦的な役どころに感じました。
凶悪犯罪者がいて、警察もどうすることもできなくて、じゃあヒーローに頼むしかない、ってなったときに、僕が出てくることは、すごいチャレンジなんじゃないかと思いますけど(笑)。例えば、市川海老蔵さんが出てきたら、やっつけるんじゃないかと期待値が上がりますよね。でも、中心になっているのは僕で、本当に倒せるの?と、客観的に思っている自分もいて。それでも、フィクションの中で僕が飛葉に見えたらいいな、とすごく思いましたし、やるんだったらちゃんと皆さんが期待するようなキャラクターにしたかったですね。あいつなら、やっつけてくれるんじゃないか、っていうような。
――役作りはどのようにしましたか?
飛葉の人物像と言うよりはチームの7人の中でどの立ち位置にいるのか、というのがすごく気になったんです。飛葉は自分の思想をはっきり持っていて、核心を突いたことを言っているようだけど、どこか偏っている。周りの人間とは違うと思っているんですよね。あと、愛する人間を失ったことに対する自責の念がすごく強い。ワイルド7の面々は全員が犯罪者だけど、罪を犯したことや、ワイルド7という組織にいることについて本当にこれでいいのか、と思っている。その中で飛葉は、一番大きく喪失感を抱えている人間なんですよ。自分ひとりで役を作っていくよりも、7人の中でいかにひとりひとりのキャラクターの違いを出せるかを意識しましたね。
――今回は、バイクアクションも見どころですよね。かなり練習をしたんでしょうか?
しましたね。最初、アクションの先生に大型バイクに乗って実際どれくらいできるのか、というテストみたいなものをやったんです。事故が起こると撮影が止まってしまいますしね。ターンの角度やカメラ位置の見極めを決めていくんですが、やっているうちに練習していくから自分でも欲が出てきて。このシーンはスタントじゃなくて、自分でやってみたい!とか思ったりしました(笑)

――バイクだけでなく、ガンアクションなどもかなりありましたね。
拳銃一発を撃つだけでも、スタッフみんながいい意味で楽しい緊張感に包まれるんです。もう一度やり直すには時間と手間がかかるので、僕としてはすごくプレッシャーだったりするんですけど、それも心地よかったですね。普段のお芝居にはない緊張でした。でも、現場を進めていくうちに、もっとできたのに、とか、こうしたいな、とか悔しい気持ちも出てくるんですよ。普段のお芝居とは違った面を見せたいとか、欲も出てきて。もっともっとやりたい気持ちが出てくるのは楽しいですね。
――アクションを撮っていく中で怖かったシーンはありました?
相手が撃ってくるところに弾着のセットがされていて、それがどこかは現場にいたら分かるんですが、だんだん監督の演出で細かく説明しなくなってきたんですよ(笑)。時間も限られているし、その上での演出だと思うんですけど、予想以上に近かったり大きかったりで、破片が飛んできたりして。耳栓しているときでも、うるさすぎて耳がキーンってなったりしてきて、リアルな反応を見るために、監督がわざとイタズラで仕掛けてるんじゃないかと思って、それがだんだん怖くなりました(笑)
――かなり激しい撮影だったんですね。何か気をつけていたことはありますか?
飛葉という役は動くしいっぱい食べるんだろうな、と。ケータリングのご飯が明らかに普段より多かったですし、食べていいんだろう、と。お肉も野菜も普段の1.5倍くらい食べてましたね。なので、だんだん革ジャンがキツくなっていった感じが……(笑)。あと、控え室の近くにジムがあったので、みんなで筋トレとかはしてました。
――共演のキャストも多彩ですよね。
7人がただの仲良しグループじゃないことが、面白かったですね。同じ空間にいるんですが、俳優としてもキャラクターとしてもバラバラで……。そこが監督やプロデューサーの狙いでもありますし、例えば全員が20代とかだったらまた違ったものになったんだろうな、と思いますが、椎名桔平さんや宇梶剛士さんがいることで重みが出てきますよね。言葉でこうしよう、というのがなくても、どのシーンでどのキャラを見せるか、みんなそれぞれが考えているな、というのをすごく感じました。自分が主演、というのも意識していなかったですね。

――深田恭子さんとの共演はいかがでしたか?
ヘルメットもつけずに深田さんをバイクに乗せて、車の間を走り抜けるシーンがあるんですが、最初の練習で「怖いーっ! こんなに飛ばすの?」なんて不安そうに言っていて。僕も「本番ではもう少し速くなるかもしれないけど、つかまっていれば絶対大丈夫だから」って言って、いざ本番、となったんです。でも、本番になったら僕をつかむテンションが全然違うんですよ。普通に、やわらかくて。あとで監督から、本番のときだけ怖さとかが表情に一切出てなかった、って聞いて、すごいなと思いました。普段はおっとりしている方なんですが、本番になって芝居をしていると、(役の)ユキなんだな、と伝わってくるんです。切り替えの早さと賢さをすごく感じました。
――たくさん新しいチャレンジをした作品ですが、印象に残っているシーンは?
ラストシーンですね。撮影自体も終盤で、みんなで集まるのも最後だったんです。すごく景色もキレイで、封鎖された道路を何十往復も練習で走って。往復で1kmくらいあるんですが、そこまで撮影で自由にバイクに乗れることもないし、ワイルド7でツーリングしている気分になって楽しかった。仕事を忘れて、みんなで遊んでいるような感じでしたね。純粋にバイクってスゴイな!とか、ワイルド7って強いな、とか、本当にアクション映画として楽しんでもらえたら嬉しいですね。
プロフィール
えいた●1982年12月13日生まれ。モデルとして活動後、2001年に『青い春』でスクリーンデビュー。05年の『サマータイムマシン・ブルース』で初主演を果たし、『余命1ヶ月の花嫁』、『ディア・ドクター』など数々の話題作に出演。「ラスト・フレンズ」「素直になれなくて」「それでも、生きていく」などテレビドラマでも活躍している。
ワイルド7

POINT≫「週刊少年キング」で1969年から10年連載され、ドラマ化、アニメ化もされてきた望月三起也の名作アクションコミックを、『THE LAST MESSAGE 海猿』の羽住英一郎監督により映画化。キャストには『一命』の瑛太をはじめ、椎名桔平、阿部力、宇梶剛士、深田恭子、中井貴一らのほか、本作で映画初出演を果たす関ジャニ∞の丸山隆平など個性的な面々が揃った。ワイルド7のメンバー全員が大型二輪の免許を取得し、改造バイクを乗り回す本格的なアクションは見もの。
STORY≫法律では裁くことのできない犯罪者を消してしまうという、超法規的警察組織・通称“ワイルド7”。秘密裏に悪を裁く彼らは、選りすぐりの元犯罪者たちだ。ある日、飛葉(瑛太)らワイルド7の面々が犯人を追い詰めたその時に、謎のスナイパーが現れ、犯人を射殺して逃走。飛葉はすぐにスナイパーを追うが見失い、埠頭にあるクラブに迷い込んでしまう。そこで飛葉は、黒髪の美しい女性ユキ(深田恭子)と出会い、互いに惹かれあうようになるが、ユキはある秘密を抱えていた。
2011/12/23(金)丸の内ルーブルほか全国公開
監督:羽住英一郎 脚本:深沢正樹 原作:望月三起也
出演:瑛太/椎名桔平/丸山隆平(関ジャニ∞)/阿部力/宇梶剛士/平山祐介/松本実/要潤/本仮屋ユイカ/吉田鋼太郎/深田恭子/中井貴一 ほか
上映時間:1時間49分 (11/ワーナー)
(C)2011「ワイルド7」製作委員会






























