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エンタメ
2012年09月15日00:00

【連載】うしろシティ交換小説 ――27時間目『とにかくコントロールがいい』/28時間目『亀文字と裏金』



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前回まではこちら


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kaneko_27h_6219殴り林とドラムがいなかったとはいえ、東京でのイベントを経たぼくたちはけっこう自信があった。
ハムロックフェスティバルに出られなくなったためしょんぼりしていると、
ガリガリの人が近づいてきた。
「やはり最優秀賞はおれたち、骨がぶよぶよのものになりそうだな!」
ガリガリの人の笑い声にかぶさるようにアナウンスが鳴り響いた。
「最優秀賞、尻$フューチャリング粉!」

ステージの上に上がったのは、尻川のおじさんと、$口さん、そして見慣れないおばさんだった。
そういえば昔バンドをしていた
尻川のおじさんが、毎年ハムロックだけはオリジナルメンバーで出演しているんだ、まあ裏金で本戦に出られるからね、と言っていた気がする。
ステージ上で
尻川のおじさんがコメントをしている間、$口さんとおばさんは激しいキスをしていた。
「おかあさーん!!」
突然そう言って、
ガリガリの人がステージに向かっていった。

「ひまになっちゃったし、高原の方に行ってみないか? ひまになっちゃったしさ。」
「そうしようよ、ひまになっちゃったし。」
博士が不自然に高原にさそい、亀文字も不自然にそれに乗った。確かにひまになっちゃったし、ぼくもいいよ、と言った。
ハムロックの大きなステージをこえて高原に向かうと、突然どすん、という音がして、目の前の地面に何かが埋まった。
隕石だと思って上を見たら、校庭で見た巨大な鳥が鉄下駄の音楽教師を鷲掴みにして飛んでいるのが見えた。鉄下駄を片っぽしかはいてなかった。さっきの音は鉄下駄が落ちてきた音だ。
「どうしよう、助けなきゃ!」
ぼくはそう言ったけど、
博士亀文字は今だ! と言って大きな鳥の巣に走っていった。
とりあえずそのへんの石ころを鳥に投げて、29個全部当たったけど効いてなさそうだったし、鳥が怒ってぼくに急降下してきた。
あ、死ぬ、と思った瞬間、横からシンバルが飛んできて、鳥がふっとんだ。
間髪入れずにドラムのいろいろな部分が飛んできて、鳥はへなへなになった。
飛んできた方向を見てはいけない気がして、ぼくは鉄下駄の先生を引っ張って、巣に走った。
巣に着くと
博士が涙を流していた。
「どうしたんですか?」
「ごらん、
P501iがついに人間になったのだ。」
巣の奥から、全裸の
亀文字が出てきた。
亀文字も泣いていた。人間になったよ、これでみんなと一緒だよ、と言った。
亀文字が抱きついてきて、博士もそれに加わった。

まったく意味がわからなかった。やめてよ気持ちわるいよ、と言ったら、うしろからさらにもう1人加わった。誰かわからないけど、そいつが一番泣いているのだけはわかった。



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ぼく以外の全員が転がりながら号泣して、そのまま寝た。
ぼくも意味がわからないまま昼寝に加わることにした。

6時間くらい寝て起きると、まだみんな最初の体勢で寝ていたから、さすがに起こす。
亀文字博士は誰か分からない全裸の人に何度もありがとう、と繰り返して最後にこう言った。
「私が余した研究資金705万円を
尻川くん、君にあげよう。」
尻川と呼ばれたその人は、目のくぼみがすごい深くて外国の人みたいだった。
「お父さん、
尻川はこんな顔のでこぼこした奴じゃないよ。」
亀文字がそういうと、博士
「巨大な鳥に、色んな事をされたんだろうなぁ……。」
と呟いて、遠くを見つめた。
なにを見てるんだろう、と思ってみんなで
博士の視線の先を見たけどなにもなかった。
紛らわしいな、と少し腹が立った。

薄暗くなった高原をフェス会場のほうへ戻っていると、尻川が突然
「演奏きこえる!」
と叫んで全速力でフェスのほうへ走っていった。
巨大な鳥に色んな事をされて顔が外国の人みたいになった
尻川は、すごく元気だ。

ステージ裏に戻るとなにやら騒がしい。
本番中の騒がしさとは違って変な緊張感が漂っている。
ちょうど通りかかった
怪し本さんに事情を聞くと、
「こっちだ!」
と言ってステージとは反対側の小川のほうへ走っていった。

出番順の紙が張ってあるところに、くるりの出演時間を見に向かうと、怪し本さんが走って戻ってきて
「え、なんでついて来ないの?」
と怒った。
僕らが仕方なく小川に行くと、“骨がぶよぶよ”のあんこだらけの人と
$口さんが川にヒザまで浸かってにらみ合っていた。

ただ事じゃないなと思って見ていたら、あんこの人が川底から泥を取って$口さんに投げた。
少し泥がかかった
$口さんが3mくらい吹っ飛ぶと同時に、スーツを着た大人達が二人を引き離す。
怪し本さんが
「優勝した“尻$フューチャリング粉”と、惜しくも優勝を逃した“骨がぶよぶよ”のメンバーじゃ……」
と勝手に喋りだした。
二人が2時間くらい小川でにらみ合ってたこと、
$口さんの咳のうるささが原因で喧嘩になったこと、尻$のメンバーは全員リュウマチで倒れたこと、怪し本さんのマイブームが温泉だということ。
「これで尻$フューチャリング粉の出演はなくなったな。準優勝だった”ねり物への怒り”を出演させるしかない。」
怪し本さんがそう言ってキックボードを漕ぎ出した時、亀文字が言った。
「ぼくらを出して下さい!」
ぼくは
亀文字がそう言った事よりも、亀文字の真剣で生き生きとした目に驚いた。
「裏金はあるのかね。」
怪し本さんがハッキリと裏金と言った。
「歴史あるハムロックに出るには9800円くらいの裏金が…」
言いかけた言葉をさえぎって
亀文字
700万で足りますか!」
と言った。

25分でフェス会場すべての看板が、『ハムスターズのハムロックフェスティバル』に変わった。

次回以降はこちら

 


column

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「うしろシティの『話シティ』」がスタート!


9/3(
)より、うしろシティのお2人が365Ustream配信する番組「うしろシティの『話シティ』が始まりました。
この番組はスタート日から一年間、お2人のホームである劇場・新宿角座から毎日22:3023:30の一時間にわたって配信していくもの。
お2人にとっては修業!? のような配信番組をさっそく取材してきました。

この日、9/8は6日目にして初のゲストが。
直前に角座での単独ライブを終えた、さらば青春の光のお2人と一緒にスタートしました。



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さらば青春の光といえば、昨年秋には同時にDVDを発売し(発売記念イベントの模様はこちら)、今年はめでたく2組揃ってキングオブコントの決勝に進出した同志。
さらば青春の光・森田さんはしっかり「ファイナリストTシャツ」を着て登場です。


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4人にとって夢だったファイナリストTシャツ(森田さんいわく「最高の夏服」())。森田さんはもらってから7日のうち5日は着ていて、金子さんは喜びをかみしめるべく、もらった当日(=決勝進出決定日)に着て寝たのだそう()

キングオブコントや終えたばかりの単独ライブの話など、ガーッと話すこと10分ほど……。
残念ながらここでさらば青春の光さんはタイムアップ。
翌日の大阪での仕事のため、夜行バスで帰阪しなければいけないとのことで、名残惜しそうに退室されました。

ここから通常営業。
現在、『話シティ』は毎週テーマを設けて、それに合わせてお2人がトークをしており、この週のテーマは「○○のベスト5」。この日のお題は「好きな女性の仕草ベスト5」で、それぞれ5位から発表していきます。


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▲5位からカウントダウン

それぞれの答えに対して賛同したり反対したり。
時には(というより毎度のように)脱線しつつ、視聴者の方から寄せられる意見を見ながら1位まで進んでいきます。


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通常はベスト5を発表して終了なのですが、この日はお2人の熱烈なリクエストで、
「黒幕の登場のしかたベスト5?」もすることに。


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▲よっぽど2人のツボなのか、すっかり2人で語り合ってます

「黒幕」については、ベスト5というよりお2人がいろいろ言い合う形でなんとなくシメ。
こうして1時間の配信は時間をオーバーしつつ終了したのでした。


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この「うしろシティの『話シティ』は毎日22:3023:30まで生配信中!
配信済みの回はすべてアーカイブとして残っているので、配信終了後も見ることができます。
生配信&アーカイブ視聴は⇒


【ツイッター】当連載用公式アカウントを設けました→
@web1_ushirocity
ご意見など、ぜひお寄せいただけるとうれしいです(ご本人たちもチェックします)。


●うしろシティ
左から金子学、阿諏訪泰義。それぞれ別のコンビで活動していた2人が、2009年にコンビ結成。芸人たちの間でも注目株として名前が上がる若手コント師。松竹芸能の劇場「新宿角座」を拠点に活動している。初DVD
『街のコント屋さん』が好評発売中。
・金子 公式ブログ→
http://ameblo.jp/ushirocity-kaneko/
・阿諏訪 Twitterhttp://twitter.com/ushirocityaswa




 




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