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エンタメ
2012年09月01日00:00

【連載】うしろシティ交換小説 ――25時間目『犬と思った』/26時間目『フェスとシールドの長さ』&祝!キングオブコント決勝進出トーク


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kaneko_25h_6071翌日の音楽の授業中に、校庭に犬が入ってきたという噂でみんながざわついた。
犬と聞いてそわそわしていた
尻川が音楽室から飛び出していったので、みんながそれに続こうとして先生が怒鳴った。
「止まれ諸君たち! 授業中だぞ諸君たち!」
もう慣れたけど、入学式のときに見た鉄下駄で竹刀でレイバンの体育教師っぽい先生が音楽の先生だったのにはものすごく驚いたものだった。
先生は
尻川を捕まえに行くと言って、音楽は自習になった。
「音楽の自習って何したらいいかわかんないよね。」
亀文字が話しかけてきたそのとき、音楽室に三年生たちが入ってきた。
ワイシャツの前をほとんどはだけた、ぶよぶよの人。
ワイシャツを着ていなくて、代わりにあんこを体に塗りたくった、ぶよぶよの人。
そして一際大きい、ガリガリの人。
三人の三年生はそれぞれベース、ドラムを叩く棒、ギターを持っていて、みんなが注目する中、音楽室にあったドラムセットの回りに集まった。
「まただ。また、あの人だ。」
亀文字が誰のことを言ったのかちょっとよくわかんなかったけど、スタンバイを終え、あんこの人がカウントを始めた。
「見せつけてやるぜ! ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!」
圧倒的だった。
ぼくたちもだいぶ、音楽をやってきていたけど、三年生たちはすごかった。
まずあんこの人のカウントの、最初のワンぐらいでガリガリの人がギターを弾きはじめて、ちょっと変な感じにはなった。
そしてベースの人の妹がたまたまこのクラスにいて、他の女子がそれを指摘したため、妹が泣き出してしまってベースの人がおろおろした。
亀文字が行こう、と言うのでぼくたちは音楽室を出ることにした。
ふと気になって廊下から校庭を見ると、
尻川と鉄下駄の先生が五十メートルくらいの巨大な鳥に襲われていた。

その日も学校が終わると、いつも通り離れでバンド練習だった。
とりあえずうちに居候している
美し子さんは、昼間は店番をしてくれて、夕方からはバンド練習を見に来るようになっていた。
「あれ? ねえ、今日は
尻川くんは?」
そういえば見ていない。
「なんだなんだ? 今日は音に厚みがないな。」
そう言いながら
亀文字博士もスタジオに入ってきた。
尻川が巨大な鳥に襲われていたことを話すと、亀文字博士が真剣な顔になった。
「ついにこの日がきたか。」
亀文字も真剣な顔でうなずいていた。
なにがなんだかわからなくてぼくは、そういえば
博士が服を着ているところ見たことないや、と関係のないことを考えていた。

まさかこのときは、明日行われるハムロックフェスティバルの会場でもある高原に住む巨大な鳥が尻川をさらっていったなんて思わなかったし、その鳥の卵を食べることでアンドロイドである亀文字が本当の人間になれることも知らなかったし、まず亀文字がアンドロイドだということも、ぼくはまだ、知らなかった。

  

 


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asuwa_26h_6109亀文字博士が離れの奥からホワイトボードを持ってきた。
「我が息子、亀文字P501iについてみんなに話がある。」
そう言って
博士は、ホワイトボードに元々書かれていたおっぱいの絵を慌てて消して、難しい計算式みたいなものを書きはじめた。

そして、博士はぽつぽつと語り出した。

P501i3歳の頃に交通事故で瀕死の重傷を負ったこと。
そして
博士の開発したハムニウムという人間の皮膚細胞に非常に近い素材で一命をとりとめたこと。
P501i98%はハムニウムで出来ていること。
ハムニウムはミナミトリモドキという動物の卵を摂取することで少しずつ人間の皮膚に変化するということ。
そしてミナミトリモドキがこの時期、子供を産むためにハムの宮の高原にやってくること。

博士が語った衝撃の事実を、ぼくは部屋に入ってきた蛾を見ていて聞いていなかった。

翌朝、亀文字と殴り林と3人でハムロックフェスの会場に向かった。
なぜか
尻川がいなくて、なぜか虫取り網を持った亀文字博士がついてきた。

フェスが始まるのは12時からだけど、オーディションは9時から始まる。
「ハムロックフェスティバル」と鉛筆で書かれた大きな看板をくぐると、色んなバンドが練習をしていた。
適当なスペースを見つけてぼくらが荷物を降ろした時、遠くのほうで練習をしていた昨日のガリガリの人がぼくらを見つけてニヤニヤ近づいてきた。
でもギターのコードがピーンと伸びててそれ以上進めないみたいで、結構しゃべってきてるのに遠くて全然聞こえない。
ガリガリの人はしばらくしゃべって戻っていった。

オーディションが始まると、他のバンドの演奏が聴こえてきてぼくらは不安になった。
やっぱり有名なハムロックだけあって、すごいバンドばかりだ。
「よし! 練習だ!」
すっごい大きい声で殴り林がそう言ったので、ぼくも
亀文字も、、尻川も楽器を持って円になる。
なぜか、
尻川のからだが鳥の羽まみれだった。

演奏が終わってステージを降りると、すぐに巨大な鳥が来て、尻川をさらって行った。
その鳥のあとを虫取り網をもった
亀文字博士が追いかける。
僕らは屋台で買ってきたアメリカンドッグを食べて結果を待った。

しばらくして、ぼくが亀文字の首の繋ぎ目のところにカラシを塗り込んで遊んでいると、ハウリング音に続いてアナウンスが流れた。

「えー。オーディション審査委員長の怪し本です。審査結果を発表します。」
ハムロックの本番の舞台に立てるバンドは最優秀賞を獲った一組だけだ。
「敢闘賞、あんこボーイズ。ハムの宮特別賞……」
緊張した。
亀文字も液晶部分に「ERROR」と表示させて首元を押さえている。

「審査員特別賞・ハムスターズ。」

僕らのバンドが呼ばれた。
最優秀賞ではなかった。

次回以降はこちら

 

 

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祝!「キングオブコント2012」決勝進出!&第2回トークライブ開催のお知らせ


うしろシティが、今年で5年目を迎えるコント日本一を決める戦い「キングオブコント2012」の決勝に進出しました!
(詳しくはこちらも⇒
コント日本一を決める「キングオブコント2012」ファイナリスト決定! 最速インタビューvol.1

8/31に準決勝に出場し、その後のファイナリスト発表会見、翌9/1には『王様のブランチ』でのネタ順決め抽選会に参加とめまぐるしい2日間を経たお2人に、いまの思いを聞いてきました。


―― 決勝進出おめでとうございます。ネタ順抽選会の結果、8組中5番めといい番号を引きましたね。

阿諏訪 超いい番号ですよね。ふだんはそんなにクジ運よくないんです。いつも金子が引くんですけど。

金子 阿諏訪はそういうクジとかを引きたがらないんです。気にしいだから。

阿諏訪 そう、気にしちゃうんです。

金子 僕は別に何も思わないので。

―― もし今回1番手を引いていたとしても、「阿諏訪さんごめんね!」とは思わないと()

阿諏訪 何も思わないでしょうね。

金子 ごめんね!とは言いますよ。阿諏訪がイヤな顔をしたら。でも何も思ってはないです。

―― 決勝進出から一夜明けて、今の心境は?発表直後、金子さんが号泣したと聞きましたが。

金子 僕はもう、ぼろぼろ泣きましたね。

阿諏訪 ぼろっぼろ泣いてました!楽屋に戻ってスタッフさんとあいさつしたりしてるうちから泣き出して。僕、それを見て泣いちゃって。

金子 発表の舞台では大丈夫だったんですけど、楽屋に戻ってから、(同じ事務所の)さらば青春の光も一緒に決勝行けたとかいろいろで。今年行かないと!とすごく思っていたのもあって。


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▲発表時、名前を呼ばれた瞬間のうしろシティ。


すでにちょっと金子さんが泣いていることを指摘した阿諏訪さんに、金子さんが「ごめんね~」と。


―― ひそかに今年に懸けていたんですね。

金子 去年、仲の良いラブレターズが決勝進出したことで、「自分たちも行けないことはないんだな」という思いもあって。がんばれば行けるかな、と思ってがんばってきたごほうびがちょっともらえたかなって。

―― それなのに当日、ファイナリストが着るTシャツと同色の赤いパンツで行ってしまって()

阿諏訪 あれは何も考えてなかったでしょ?

金子 何も考えてなかった!その日着たいものを着てしまって……。

阿諏訪 僕、朝見た瞬間「うわー、もし決勝行けたら……」と思って。

金子 そういう考えがあったの?

阿諏訪 そりゃ考えるよ。

金子 阿諏訪はそういうのを隠してたんですよ。「行けるかもしれない」みたいな考えを。

阿諏訪 いやオレ、行けると思ってなかったもん。行けると思ってないというか、準決勝1日目(※うしろシティは2日目)の話とか聞いてて、30%くらいの自信しかなかった。でもこれで、ゴールデンタイムのテレビで2本ネタができることが確定したわけですから、ホントうれしいです。

金子 今年一年いろんな方、ファンの方や関係者の方に応援された一年だったので、自慢してもらえるように、多少恩返しできたかなって思ってます。


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スピンオフ企画 うしろシティトークライブ「裁縫男子と料理男子vol.2」開催!


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月から連載してきた、うしろシティ交換小説「チョコパイでてきた」ですが、10/1更新分で最終回を迎えます。
……がご安心ください。うしろシティ連載はまだまだ続きます。ファーストシーズンが10/1で終了し、セカンドシーズンが新たに始まります。
そこで、その区切りとして、5月に開催してご好評をいただいたトークライブ「裁縫男子と料理男子」の2回目を開催することになりました。
(前回の模様は
こちら

今回も1回目と同じく、裁縫男子・金子さんは自作の服でのファッションショー(のリベンジ)を、阿諏訪さんは料理メニューのプロデュースをします。
キングオブコント後の開催なので、その話もたっぷりお届けします。
ぜひお越しください!


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1週間presents 
うしろシティトークライブ「裁縫男子と料理男子 vol.2

【日程】20121010日(水曜日)
【時間】開場18:30/開演19:30
【会場】阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/
     ※JR中央線阿佐ヶ谷駅南口より徒歩2分
【出演】うしろシティ(金子学/阿諏訪泰義)
【料金】前売¥1,500/当日¥1,800(共に飲食代別)
 ※前売券はローソンチケットにて9/2()より発売(Lコード:38528
 チケットは完売いたしました。当日券の販売予定はございません。ご了承ください。
【お問合せ】阿佐ヶ谷ロフトA03-5929-3445) 

  

【ツイッター】当連載用公式アカウントを設けました→@web1_ushirocity
ご意見など、ぜひお寄せいただけるとうれしいです(ご本人たちもチェックします)。


●うしろシティ
左から金子学、阿諏訪泰義。それぞれ別のコンビで活動していた2人が、2009年にコンビ結成。芸人たちの間でも注目株として名前が上がる若手コント師。松竹芸能の劇場「新宿角座」を拠点に活動している。初DVD
『街のコント屋さん』が好評発売中。
・金子 公式ブログ→
http://ameblo.jp/ushirocity-kaneko/
・阿諏訪 Twitterhttp://twitter.com/ushirocityaswa





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