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エンタメ
2012年07月15日00:00

【連載】うしろシティ交換小説 ――19時間目『チョコパイでてきた』/20時間目『殴ると再会』


 


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前回まではこちら

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kaneko_19h_6081オリジナル曲の反応はすごく良かった。
ライオンのドラムにはびっくりしたけど、おかげで観客が前のめりになってくれた。
殴り林も絶妙なタイミングで火をふき、尻川の髪が消し飛んだとき、観客は大盛り上がりだった。
舞台袖で、
怪し本さんがフリップを出している。あと5分!と書いてある。順調だ。あとはカバー曲だけだ。
熱唱した
尻川は喉をうるおすためブラックコーヒーを飲んでいた。亀文字が代わりにMCをする。
「次はカバー曲です。東京で浮気、きいてください。」
亀文字のオーボエが響き渡り、ぼくのベースと、ライオンのドラムが同時に入る。そして4小節あって、尻川のボーカルが入る。……入らなかった。
尻川!?」
尻川がブラックコーヒーをだらしなくこぼしながら、どうしよう、という顔でこっちを見ていた。さっきまでの大人っぽかった尻川が、今までっぽい感じに戻っていた。おなかをおさえている。
仕方なくイントロのフレーズをもう一度繰り返した。でも
尻川は歌えそうになかった。
観客にバレないよう、ぼくはベースをひきながら
尻川に近づいた。
「だめだぁ、緊張しちゃってだめ。」
「さっきはあんなに熱唱したじゃんか!」
「ちょっと横になったらよくなるんだけど。」
「そんなやついないよ、ステージで横になったら変だよ。さっきみたいに大人な感じになれよ!」
「無理だよー。」
殴り林が間を保たせようと、客席に火をふいた。そのとき客席がぱっと明るくなって、そこには超アイドル美し子さんの姿があった。
「来てくれたんだ!おい
尻川美し子さんも来てるんだから!はやく!」
尻川は、もう、ちょっと横になりつつあった。
「5分だけー。」
「5分もないんだよ!」
舞台袖をみると、
怪し本さんが次の出番のひとたちを説得しているようだった。
そうだ、次のひとたちがいるんだった。
時間はもうない。
いまからじゃどうせ最後まで演奏できない。このまま、おしまいだ。
目の前が真っ暗になった。終わらせ方もわからない。横になってすやすや眠り始めた
尻川がうらやましかった。

亀文字もどうすればいいかわからないようだった。殴り林はやけになって火をふきつづけている。ライオンは、気持ちよさそうにドラムを叩きつづけている。
最悪だ。
ただただイントロをひきつづけていることに、とっくに観客も気づいている。
怪し本さんごめんなさい。せっかく出してくれたのに、イベント変な感じにしちゃってごめんなさい。
あと次の出番のひとたちもごめんなさい。
東京に来る新幹線の中で見たイベントのスケジュール表が、
尻川のチョコパイで汚れていたのを思い出した。
ちょっと名前わかんないですけどチョコパイのひとたちごめんなさい、出番前に変な感じにしちゃってごめんなさい。

そしてついに怪し本さんがふっとばされて、チョコパイのひとたちが、ステージにでてきた。

  

 


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asuwa_20h_6244“東京で浮気”のイントロが延々と会場中に響いている。
チョコパイのひとたちがステージに出てくると大歓声が沸き起こった。
出てきたのはスキンヘッドやモヒカンの外人さんで、腕や顔にタトゥーが入っている。
最後に現れたのは大きな十字架を担いだ金髪ロングの外人さんで、一番歓声がすごかった。
外人さんたちが近づいてくる。
殴られるな、と思った。
でも殴られないかもな、とも思った。
だってこんな大歓声を上げてくれているお客さんの前で殴ったりしたら印象が悪いもんな。
いくら外人さんといえどさすがに殴りはしないだろう。
ステージの袖を見ると、耳から血をダクダク流す
怪し本さんが目に入った。
あ、殴られるな、と思った。

緑色のモヒカンの人がぼくのところに来て、ベースを持った。
ベースで殴るのかな、と思った。
するとモヒカンの人がニコッと笑って、ぼくのベースに合わせて弾き始めた。
これは殴られないな、と思ったそのとき、うしろで誰かが殴られる音がした。
やっぱり殴られた。

振り返るとスキンヘッドの外人さんがドラムセットの脇で大の字になって倒れていて、その横でライオンが雄叫びを上げている。
どうやら殴ったのは外人さんではなくライオンのようだった。

突然ライオンが
「はちかいー!!!」
と叫んだ。

そして邪魔くさそうにライオンの着ぐるみの頭部を脱いでぼくを睨んだ。
「8回!目が合ったはずだー!!!」
ドラムセットから離れて、体はライオン頭は
粉連続の人がこちらへ走ってきて、
「新幹線でぇ!」
緑のモヒカンの人を殴った。
「ホテルのロビーでぇ!」
金髪ロングの人を殴った。
「雷門でぇ!」
ピンクのモヒカンの人を殴った。
「東京タワーでぇ!」
怪し本さんを殴った。
「新宿角座!新宿Fu-!シアターD!無限大ホール!」
怪し本さんを殴って殴って殴りまくった。
そしてステージのセンターで横になってすやすや寝ている
尻川のおしりを蹴っ飛ばして、再びドラムを叩きはじめた。
それにつられてぼくも
亀文字も演奏を始める。
殴り林は瓶のガソリンがなくなったようで、軽くリズムをとっていた。
そしてイントロが4小節つづいて……
尻川のボーカルが入った。

尻川!」
喜んでそう叫んで
尻川を見たら、相変わらず寝こけていた。

ぼくも亀文字も意味が分からずあたりを見渡していると、
さっき金髪ロングの外人さんが持ってきた十字架が転がっていて、誰かがはりつけにされている。
声はそこから聴こえてくる。

十字架に近づいてみると、それは父ちゃんだった。

次回以降はこちら

  

 

 


column


うしろシティ第2回単独ライブ「走ってるのかと思った」蔵出し写真
&「裁縫男子と料理男子」チケット完売記念 レシピ公開!


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6/14木~16土に行われた、うしろシティ第2回単独ライブ「走ってるのかと思った」。
前回お2人に直筆コメントで全ネタを振り返っていただきましたが、写真は少なめだったので、今回はお見せできていない写真をもう少しお届けします。
会場でご覧になった方は思い出しながら、ご覧になれなかった方は
前回の連載を見つつ、お楽しみください。

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▲上左から「まんが」「ギコギコ」、下左から「ストリートミュージシャン」「焼肉」


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▲上左から「美容室」「大丈夫」、下左から「寿司」「ホームシック」

  

 「裁縫男子と料理男子」スペシャルメニュー レシピ公開!

5/17に開催した、当連載スピンオフ企画「うしろシティ初トークライブ『裁縫男子と料理男子』」。
裁縫男子・金子さんは自作の洋服でファッションショーを、料理男子・阿諏訪さんにはスペシャルメニューをプロデュースしていただいたこのライブ。
おかげさまでチケット完売で盛況のうちに終了したのですが(当日の模様は
こちらのレポートにて)、ツイッターで企画していた「完売したら阿諏訪さん監修のスペシャルメニューのレシピ配布」ができませんでした。

というわけで、遅くなりましたがレシピをアップします!
ぜひご自宅で作ってみてください。


★牛すじの柚子胡椒煮込み

(材料は4人分)
牛すじ 500g
大根 1/4
人参 1/2
ごぼう 1/2
しょうが ひとかけ
にんにく ひとかけ
柚子胡椒 適量

1)沸騰したお湯に牛すじを入れ、あくが出なくなるまで下ゆでする。
2)牛すじを取り出し、お湯も全部捨てる。
3)再び沸騰したお湯に牛すじ、日本酒(2まわしくらい)、しょうが千切り、にんにくみじんを入れる。
4)大根、人参、ごぼうを入れ、弱火で煮込む。
5)牛すじから出る油が多い場合はある程度すくって捨て、塩、柚子胡椒、醤油、昆布だしで味をつけてできあがり。

※ごぼうは酢水に漬けておくとあくが抜けて◯。
※昆布だしは顆粒でも可。醤油は極少量。柚子胡椒は入れすぎるとすぐ辛くなるので注意。
※お好みでゆで卵、木綿豆腐、こんにゃくを入れても◯。


★豆乳バーニャカウダ

(材料は4人分)
お好みの野菜(「裁縫男子と料理男子」ではセロリ、人参、大根、パプリカ)
アンチョビ 1缶
オリーブオイル 適量
豆乳ホイップ 200ml
豆乳 150cc
バター 1かけ
にんにく 4かけ

1)フライパンに豆乳、皮と芯をとったにんにくを入れ、火にかける。
2)沸いたら火を弱めて、にんにくに火が入るまでじっくり沸かす。
3)火が入ったらにんにくを取り出し、包丁でペーストっぽくなるまでよく叩く。
4)オリーブオイルをひいたフライパンに、同じようにペーストっぽくなるまで叩いたアンチョビを入れる。
5)温度が上がってきたら、さっき叩いたにんにく、豆乳ホイップ、バターをよく混ぜながら入れる。

※基本的に焦げ付きやすいので、火加減に注意。
※にんにくを沸かすのは豆乳じゃなくて水でも可。
※仕上げにローズマリーやバジル等のハーブを散らすのも◯。


●チキンバターカレー

(材料は4人分)
鶏もも正肉 1枚
玉ねぎ 2個
カットトマト缶 1缶
ヨーグルト 100g
にんにく ひとかけ
しょうが ひとかけ
カレースパイス 適量
カシューナッツペースト
(カシューナッツ大さじ3、水100cc
バター 50g

1)ヨーグルトに塩、ガラムマサラ、おろしにんにくを入れマリネソースを作る。
2)そこに一口大に切った鶏もも肉を入れマリネする。
3)フライパンにオリーブオイル、バター、にんにくみじん、しょうがみじんを入れ、火にかける。香りが立ってきたら、玉ねぎみじんを入れ炒める。
4)玉ねぎがしんなりしてきたら、マリネから取り出したもも肉を入れて火を通す。
5)表面に火が入ったら、カットトマト缶、カシューナッツペースト、マリネソースを入れ、ふたたび煮込む。
6)仕上げに塩、バター、スパイスを入れて完成。

※カシューナッツペーストはカシューナッツと水をミキサーにかけて作る。
※スパイスはコリアンダー、ガラムマサラ、クミン、ガラムマサラ、シナモン等をお好みで。辛くするならレッドペッパーを。
※仕上げにコーヒーミルクをかけるとお洒落。

  

【ツイッター】当連載用公式アカウントを設けました→@web1_ushirocity
ご意見など、ぜひお寄せいただけるとうれしいです(ご本人たちもチェックします)。


●うしろシティ
左から金子学、阿諏訪泰義。それぞれ別のコンビで活動していた2人が、2009年にコンビ結成。芸人たちの間でも注目株として名前が上がる若手コント師。松竹芸能の劇場「新宿角座」を拠点に活動している。初DVD
『街のコント屋さん』が好評発売中。
・金子 公式ブログ→
http://ameblo.jp/ushirocity-kaneko/
・阿諏訪 Twitterhttp://twitter.com/ushirocityaswa





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