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エンタメ
2012年05月01日00:00

【連載】うしろシティ交換小説 ――9時間目『アピールがむくわれそう』/10時間目『オリジナル曲と紙袋』




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kaneko_9h_6285また背中をどん、と小突かれた。
うしろのやつが殴ってきたのかと思って振り返ると、うしろのやつも、そのうしろのやつも、みんながうしろを振り返っていた。
ぼくの前にいた男の子が「ねえ今どんってやった?」と聞いてきた。
「どんってやってないよ」と答えた。
またどん、と小突かれた。なんなんだろう。

「諸君なにをしてる! 今は生徒会長の祝辞を聞く時間だろうが諸君!」
角刈り、ジャージ、レイバン、竹刀という、見た目から入ったタイプのベタなビジュアルをした
体育教師が怒鳴っていた。ぼくの位置からは見えなかったけど、うわ鉄下駄だ、という声も聞こえた。

だけど背中を小突きつづけている、どん、がみんな気になって仕方がなかった。
収まりがつかないので、体育教師が一番うしろの列まで走っていった。
「諸君これはなんの騒ぎだ!」
すると一番うしろにいたやつが答えた。
「どうやら体育館の外から、音がしてるみたいです。」
音なのか、と思った。これは音なのか。背中を小突かれたと思ったこれは。
バンド練習をしていてもここまでのどん、はなかった。
体育教師が体育館の扉を開けた。

そこには春の日差し、舞う桜吹雪を背に、ドラムを叩く男がいた。
逆光で誰なのかまではわからない。

ぼくらのバンドは今のところ、ギター、オーボエ、ベースという編成だ。あんなドラムがいたら、と思った。遠くで亀文字がこっちを見て、うん、と頷いていた。あいつも同じ気持ちだ。尻川は、と探すと、みんなが立ち上がっている中、ひとり寝こけていた。

「諸君は入学式の続きをやっとけ!!」ドラムの男と向き合った体育教師がそう言いながら扉を閉めた。
扉の向こうからは、今までと変わらないリズムで叩かれるドラムの音と、
体育教師の悲鳴だけが聞こえていた。

ハプニングはあったけど入学式が終わり、ぼくら3人は帰ろうと靴をはいていた。
「あれはちょっと、ただ者じゃないよね。」
「うん、ドラムだけであんなかっこいいなんて思わなかった。」
ぼくと
亀文字が話していると、尻川がかばんから封筒を出してきた。
「これ見てこれ見て、こないだの1次オーディションの結果がきたよ。」

亀文字がレーザービームで丁寧に封を切って、尻川が文面を読み上げた。
なんと、書類での審査は合格ということだった。
そして2次オーディションとして、5人で演奏したデモテープを送って欲しい、とあった。
いよいよだね、と
尻川が言い、ぼくと亀文字は、5人? と言った。

尻川がオーディションに送った写真を見て驚いた。
河原で、真ん中にぼくら3人がいる。それはいい。
そのうしろに、
粉連続が写っていたのだ。
そういえばあの日、
粉連続に会った。
写っていた。
写っていたし、メンバーにカウントされていた。
さらに端の方には寂しさのすごい背中が写っていた。
見覚えがあった。
殴り林だ。
殴り林も、カウントされていた。

これはまずい。一次オーディション、通っちゃったし。
  

  


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asuwa_10h_63175人で演奏したデモテープを送ってほしい。
その下にはこうあった。

(※最低1曲はオリジナル曲を含めてください)

ぼくらは急いで尻川の家に集まった。
「今日はおかあさんいないから。」
尻川はそう言いながら歌舞伎揚げをテーブルに置いた。
「なぁ
亀文字。どう思う?」
「うん。チョコパイ出ないなら
尻川の家に来た意味ないよね。」
「損したね。あ、じゃなくてオーディションのこと。」
メンバーの件はどうにかするとしても、ぼくらはまだやっと楽器が弾けるようになったレベルで、オリジナル曲なんてもちろんない。
「有名な曲をさ、ちょっと変えてやる?」
おいおい何言ってんだ
亀文字……名案じゃないか!
いい曲の歌詞とメロディーの最後のほうをちょっと変えれば、いい曲になる。
だって元々がいい曲だから。
「早速、その方向で話を進めよう。」
とぼくがカッコいい台詞を言うと、
亀文字もカッコいい感じでうなずいてくれた。
すると
尻川が切れのあるオナラを1発して
「オリジナル曲ならあるよ。」
と言ってギターを構えた。

ぼくと亀文字がまだ驚いている中、尻川が鼻歌交じりで曲を弾き始めた。

それは、すっごくカッコよかった。

ぼくと亀文字はしきりにすごい、すごいと言いながら体を揺らしてその曲を聴く。
演奏が終わると
尻川はカッコよく顔を上げて
「イントロはまだ考え中なんだけど、歌詞はもう出来てる。」
と言って歌詞とコードの書かれた紙を渡してきた。
その仕草がまたカッコよくて、ぼくと
亀文字は唸りながら歌詞を読んだ。

  

「雨に濡れドッグ〜街角こごえ〜」

TOWN TOKYO ドラッグざんまい
今宵も女を 抱く 抱く こごえ
あいつのピストルが俺を捕らえたエブリデイ
孤独を抱いて

※1 HEY TOKYO 激しめに
   HEY TOKYO 激しめに降れ

TOWN TOKYO 入れ食い状態
今宵の月は 泣いてるぜ 俺に次いで
あいつの蹴りが俺の心臓を貫いたエブリナイ
月がきれい

※1くりかえし

  

……やっぱり歌詞はぼくが書くことにした。
亀文字もそうしてほしそうだった。

次の日から毎日学校が終わると亀文字の家の離れで練習した。
オリジナル曲を“含む”という事は、きっとコピーも何曲か演奏しないといけないからみんな必死だ。

「噛まないで口の中で溶かすのがプロなんだよ。」
学校が終わって3人で離れへ向かいながら、
尻川のうまい棒の正しい食べ方を聞いていたとき、うしろから声を掛けられた。

「お前ら1年? それ楽器? バンドやってんの?」
振り返ると、背の高いガリガリの人がいた。
ぼくらは一度家に楽器を取りに帰るのが面倒で、いつも学校に楽器を持ってきていたのだ。

ガリガリの人が、ぼくのベースが入ったケースと尻川のギターが入ったおっきめの紙袋を見ている。

3人共、怖くて口ごもっていると、急にガリガリの人が尻川を殴った。

次回以降はこちら

  

 


column

  

うしろシティ単独ライブ「走ってるのかと思った」フライヤー完成!


6/14
木~16土に開催される、うしろシティ2回目の単独ライブ
「走ってるのかと思った」のフライヤー用の写真撮影にお邪魔してきました。


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▲金子さんもアップに挑戦!? 結局、2人とも様にならず…


カメラの位置決めをする間、思わず日向ぼっこするほど
寒くもなく暑くもない、いい陽気です。


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位置取りを話し合ったりの末、芝生に座って撮影スタート。
うしろでランナー役をしてくれているのは
松竹芸能の後輩芸人さんたちです。

途中、うしろシティお2人と後輩お2人の位置を逆にしてみたところ、
カメラから遠く離れ、周りに誰もいないのに
何やらミニコントを繰り広げていた模様……。


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そして最後にはがっちり走ってみたりも。


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こうして無事に撮影を終え、フライヤーが完成しました!

  

うしろシティ第2回単独ライブ「走ってるのかと思った」

 


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彼らの真骨頂、新作コントをどかんと見せる単独ライブ。
舞台(

5/5土からチケットぴあ(リンク)にて先行抽選販売受付開始(ぴあプレリザーブ)、
5/12
土から一般発売開始です。
ぜひお買い逃しのないよう!


うしろシティ第2回単独ライブ「走ってるのかと思った」

【日程】2012614日(木)、15日(金)、16日(土)

【時間】開場18:30/開演19:00

【会場】松竹芸能 新宿角座
     ※JRほか新宿駅B9出口より徒歩1

【料金】前売¥1,800/当日¥2,000
    チケットぴあ(
リンク)にて5/5(土)11:009(水)11:00 プレリザーブ受付中
    5/12(土)より一般発売開始

【お問合せ】松竹芸能 新宿角座(03-3226-8081
 

【ツイッター】当連載用公式アカウントを設けました→@web1_ushirocity
ご意見など、ぜひお寄せいただけるとうれしいです(ご本人たちもチェックします)。


●うしろシティ
左から金子学、阿諏訪泰義。それぞれ別のコンビで活動していた2人が、2009年にコンビ結成。芸人たちの間でも注目株として名前が上がる若手コント師。松竹芸能の劇場「新宿角座」を拠点に活動している。初DVD
『街のコント屋さん』が好評発売中。
・金子 公式ブログ→
http://ameblo.jp/ushirocity-kaneko/
・阿諏訪 Twitterhttp://twitter.com/ushirocityaswa


「ロミオとジュリエットのハムレット」5/8~13@銀座博品館劇場)の稽古の合間をぬって、徐々にネタ作りを進めている模様です。
(この衣装を着るコントもあるとかないとか……。マネージャーさんには「せっかく買ったんだから、これを着るコント作れ!」と言われていました・笑)
月半ば、場所は荒川の河川敷。
タイトル「走ってるのかと思った」からイメージした、土手でランニングしている雰囲気です。
気持ちを入れるためか、アップをはじめる阿諏訪さん。
asuwa_10h_63175人で演奏したデモテープを送ってほしい。
その下にはこうあった。
前回まではこちら

 




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