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2012年04月01日00:00

【連載】うしろシティ交換小説 ――5時間目『真夜中の25メートル自由形』/6時間目『店番とくさい楽器』


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前回まではこちら


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「その声はケン坊か。急にごめんな、びっくりしただろう。」
kaneko 5h_6300間違い電話だった。
受話器を置くと、またすぐに電話が鳴った。
「もしもし、ぼくはケン坊じゃないですよ。」
「えっ、なんの話?」

尻川の家はぼくの家からも見えるけど川を挟んでいて、いったん遠回りして橋を渡らないといけないため歩いてきたら40分くらいはかかる。明日まで待てないなんて何があったんだろう。
……5分後、玄関から
尻川の声がした。

「早かったね。自転車? 車で送ってもらったの?」
「川で来た。」
びしょぬれの
尻川がそこにいた。

尻川が身体をふいている間、尻川の持ってきた切り抜きを見ていた。それはバンドのオーディションの応募用紙だった。優勝すればCDデビュー、と書いてある。
「すごいチャンスだよ! 応募しよう!」
「いやでも、まだ何にも決まってないしさ、練習もしてないし。とにかく服、
尻川は服を着ないと。」
「1次オーディションは書類審査だけだし、うまくなるのなんて後でいいよ。まずは飛び込まないと。」
尻川がもっともらしい事を言った。
確かにそうかもしれない。

翌日ぼくらは河原に集まった。応募する写真を撮るためだった。
「写真が増えるね。」
そう言うと
亀文字は嬉しそうに大空を旋回した。まるでアンドロイドだな、とみんなで笑った。
「写真も貼ったし、あとはぼくが出しておくよ。」
尻川がそう言うと、亀文字が制した。
「バンド名書くところあったよね?なんとかアサシンにする気でしょ。」
尻川は、うっ、と言って話を変えた。
「それよりさ、2次に通ったらデモテープを送らなきゃいけないし、そろそろ練習したいよね。」
「うん、でも2人はギターとオーボエでいいけどぼくは何をやろう?」
「うーん。普通はベースとかドラムとかいるもんね。そもそも、3人組でいいのかな?」
尻川の言うとおりだった。ギターとオーボエが確定した今、ぼくがベースをやろうがドラムをやろうが、なんとなく3人では足りない感じがあった。

「しっ。 粉連続がいるよ。」
いつからいたのか、
粉連続が周りに倒れている不良たちのローファーをドラム代わりに叩いていた。
「すごい。」
「すごいね。」
「行こう。」
ぼくたちは河原を後にした。1次オーディションの結果が出るまで二週間くらいはかかるらしい。それまでにやることは山積みだった。

  

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電話を切って店番に戻るとお客さんがいて、粕漬けを見ていた。粉連続だった。
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シャツに“ドラムが大得意”と書かれている。
ぼくは、ワルも粕漬けなんて食べるのかなぁと思った。

「あのよぉ」
粉連続が話しかけてきた時、電話が鳴った。
もしやと思い急いで出たら、やっぱり
尻川だった。
「楽器あるみたいだよ。古いから使えるか分からないけどって。」
心が躍った。楽器をもらえるかもしれない。
「バンド仲間の
$口(どるぐち)さん家の倉庫にあるんだって。」
「…
$口さん?」

家の手伝いを昼過ぎに終えて、すぐに自転車に乗って尻川と合流した。
亀文字も誘ったが、まだ充電が終わらないからと断られた。アンドロイドじゃないんだから、とぼくは思った。

$口さんの家は山のほうにあった。
山のほうに行くのは久しぶりだ。
1年くらい前に林の中にエロ本が大量に落ちてる噂が広がって、みんなで拾いに行った時に登ったきり。
あの時はエロ本が見たい一心で坂道なんて楽勝で登った。
今も楽勝だ。

$口さんの家に着くと呼び鈴を鳴らした。
まるで道場のような立派な門構え。
右上に大きな木の表札があり、毛筆っぽい書体で「
$口」と書かれている。

$口耳右衛門さんはすごいボリュームのある白髪のおじいさんだった。
「シリーのトコの坊主か。聞いてるよ。」
そう言うとすぐに庭の奥へ連れていってくれた。
案内されたのは、倉庫というより蔵といったほうが近い立派な建物だった。
重厚な扉を開けると、暗くてカビ臭い中にすごい数の楽器が並んでいる。
近寄って見たかったけど入り口に居るだけですごく臭くて、中に入らず覗いた。
なんかうんこみたいな臭いもする。

$口さんは鼻が壊れているのか蔵の奥の方にずんずん入っていって、どれがいいか聞いてきた。
「分からないならこれにしな。マーチンのD-28だ。年代物だぞ。弦さえ張り直しゃ良い音が出る。」
「ちょっと嫌です。」
なんか分厚くてダサいし、なにより蔵の奥には絶対に行きたくないから断った。
「これでいいです。」
とにかく臭くて早くここを離れたかったので、すぐそこの分厚くないのを適当に指差した。

「リッケンバッカーか、まぁいいけど。それベースだぞ?」

次回以降はこちら

  

 

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「大江戸鍋祭上映会」、そして『戦国鍋TV』再始動!の初収録は金子さんの誕生日



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うしろシティがレギュラー出演している、歴史バラエティ番組『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~』。
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14日から29日にかけては、昨年末に上演された舞台「大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~」の上映会が東京・大阪・福岡で開催され、
うしろシティも舞台挨拶のMCとして飛び回っていました。

ということで、金子さんから届いた写真と文章で、大阪~福岡旅日記!

さらば青春の光・森田、プリンセス金魚・高道)と、大阪のホテルきれい。」

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まずは大阪。「吉本さんの劇場・NGKの前ではしゃぐ松竹芸人(左から

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続いて福岡。「有名なかろのうろんのごぼてんうどんと、とんこつラーメンやすい。かわいい福岡弁とかわいいきんかん。」

阿諏訪さんからは上映会の舞台裏!?を。

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舞台あいさつに登場した戦国鍋メンバーの衣装。さすが、衣装もなんだかキラキラしてます!

  

「ミュージックトゥナイト」の収録現場に潜入!

そしてその『戦国鍋TV』の再始動が決定!(TVKにて4/21 22:30~。ほかテレ玉、チバテレビ、サンテレビでも放送)

もちろんうしろシティも出演!ということで、お2人がMCを務めるコーナー「ミュージックトゥナイト」の収録にお邪魔してきました。

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この日から新ユニット「AKR四十七」(えいけいあーるしじゅうなな)が登場!
収録まるまる潜入(独占!)してきたので、こちらはオンエア後に特別編としてたっぷりお届けしますね!

そしてこの日は、金子さんのお誕生日でもありました。


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収録終わりにケーキが登場!
これには金子さん、「すげー!芸能人みたいー!」と大興奮。
キャスト、スタッフみんなの拍手のなか、無事に?ローソクも吹き消しました。

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▲プレートには「HAPPY BIRTHDAY うしろシティまなぶくん」の文字()。フォークが見当たらず、とりあえずかぶりついてました…。

  

【ツイッター】当連載用公式アカウントを設けました→@web1_ushirocity
ご意見など、ぜひお寄せいただけるとうれしいです(ご本人たちもチェックします)。


●うしろシティ
左から金子学、阿諏訪泰義。それぞれ別のコンビで活動していた2人が、2009年にコンビ結成。芸人たちの間でも注目株として名前が上がる若手コント師。松竹芸能の劇場「新宿角座」を拠点に活動している。初DVD
『街のコント屋さん』が好評発売中。
・金子 公式ブログ→
http://ameblo.jp/ushirocity-kaneko/
・阿諏訪 Twitterhttp://twitter.com/ushirocityaswa



asuwa 6h_6307次の日、家の仕事を手伝っている時にふと思い立ち尻川に電話をした。
尻川のギターってさ、昔バンドやってた親戚のおじさんからもらったんだよね?」
尻川は寝ていたようで、電話口でふぬ、とかぐう、とか言っている。
「そのおじさんの昔のバンド仲間って、今何してるのかな?」
もしおじさんのバンド仲間と知り合えたら、タダで楽器がもらえるんじゃないか、という名案だ。
尻川は眠そうな声で今から聞いてみるよ、と言った。
絶対二度寝するなぁあいつ。
尻川からだった。
「すごいお知らせだよ! ちょっと、詳しく伝えるには直接がいいから今から行くね!」
「でも
尻川んち遠いだろ? 明日でもいいんじゃない?」
「とにかく行くから!」
ガチャッという受話器を叩きつける音がした。音はしたけど電話はちゃんと切れていなかった。慌てている。



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